あの娘(こ)は飛んで行った

 

あの娘(こ)は飛んで行った・・・

 

 

その胸に滾(たぎ)る想いを翼に込めて

 

 

(しがらみ)の何もかもを捨て 飛んでいった・・・

 

 

振りかえりもせず真っすぐに

 

 

番(つがい)の相手と二羽寄り添って・・・

 

 

やがて 空の青さの中で二羽はどんどん小さくなってゆき

 

 

消えてしまった・・・

 

 

その方角を見続ける目に 空の青だけが

 

 

白い雲を滲(にじ)ませ 密(ひそ)やかに広がっていた・・・

 

 

 

 

あの娘(こ)は それっきり・・・

 

 

 

 

あの娘(こ)は 今頃どうしているのだろう・・・

 

 

何処かで 一緒に飛んで行った愛する相手と寄り添って

 

 

元気に幸せでいるだろうか・・・

 

 

遠い何処かで空を見上げ 故郷を思い出して涙ぐんではいないだろうか・・・

 

 

でも・・・それは

 

 

今 あの娘(こ)が何処かで 自分の選んだ人生を生きているという事・・・

 

 

そう・・・あの娘(こ)は巣立って去って行っただけの事・・・

 

 

死んだわけじゃないのだから・・・

 

 

見上げる果てしない空の下の何処かで

 

 

番(つがい)となった相手と新たな巣を造り

 

 

きっと頑張って暮らしている事だろう・・・

 

 

そう思える事は幸せ・・・

 

 

亡くしてしまう事よりも ずっと・・・

 

 

だって 巣だった雛鳥はちゃんと自分の命を生きているのだから・・・

 

 

 

 

 

 

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投稿者: 花咲 手毬

ご訪問、有難うございます。見て頂けて、嬉しいです。 私の咲かせた言葉の花が、誰かの心に届きますように…

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