命のバトンを引き継いで

冬雀

 

凍える冬の最中(さなか)に訪れた

 

思いがけない小春日和…

 

 

朝 冷え込んで凍てついていた空気も

 

心地良い日差しに蕩(とろ)けるように和らいで

 

歩く足元が 融雪の冷たい水に浸っている…

 

 

 

ふと見上げた柿の木の枝で

 

雀達が賑やかにお喋りをしていた…

 

 

 

思いがけないお日様の温もりを

 

寒さに疲れた身体に浴びて

 

気持ち良さそうにウトウトとする姿が

 

まるで この上ない幸せに満たされているようだった…

 

 

 

連日の寒さに悴(かじか)んだ心も解(ほど)けて

 

ピチュピチュと 雀達は何を呟きあっているのだろう…

 

 

氷点下で吹雪続けた日々を

 

あんなに小さく華奢な身体で

 

雀達は どうやって凌ぎ 乗り越えてきたのだろうか…

 

 

 

今日の命も明日をも知れない境遇の中 それでも精一杯に

 

繰り返される今日という日を乗り越え生きる雀達…

 

 

つかの間の気まぐれな温もりに

 

雀達も今は只 身も心も解(ほぐ)れ 蕩けるように寛いでいる…

 

 

又襲い来る厳しい寒波を知りもせず…

 

 

 

この世の仕組みは 忍びない程に過酷で

 

そして とても意地悪だ…

 

 

 

長く苦しい日々に芯から疲れ果てた頃

 

まるで見計らったかのように 気まぐれに

 

つかの間の幸せを齎(もたら)す…

 

 

 

生かさず殺さず わざと何者かの思うように

 

仕組まれているのでは…とさえ思えてしまう…

 

 

それでも 全ての命は不思議な事に

 

気の遠くなるような太古の時代から

 

途絶える事も無く生き抜き続け

 

連綿と今の時代まで命は受け継がれてきた…

 

 

 

今を生きている命の全ては

 

長い時を生き抜いた 強い命のバトンを引き継いで

 

今 ここに存在しているんだね…

 

 

あの雀達も…

 

そして 私達人間も…

 

 

 

 

 

 

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