「里のキツネ」
ある 暖かく晴れ渡った 春の日の事・・・
それは それは美しい
一匹のキツネと 出会いました・・・
狭い農道を ノロノロと 車で走るその前を
綺麗なキツネが 横切って
ピョーンと 大きく飛び跳ねて
向こうへ 渡って行きました・・・
ピョーンと跳ねた キツネの身体・・・
お天道様の 優しい光に包まれて
眩しいほどの 黄金色(こがねいろ)に 輝いた・・・
冷たい雪に覆われた ひもじい辛い冬を超え
春の 煌めく光の中・・・
その身体は 透き通った風の中で 金色に輝いて
春を迎えた喜びが 身体中から 溢れて見えた・・・
その黄金色(こがねいろ)に輝く姿が 美しく・・・
私には 只 只 別世界の者のように 美しく・・・
まるで 一つの名画を見たように・・・
あの瞬間の 時間がそこで 止まったように・・・
目に焼き付いて 離れない・・・
ほんの一瞬の出来事なのに・・・
深い山々から離れた この里で
多分 生まれ育ってきたのだろうキツネ・・・
この里で生きる事を 当り前として・・・
周りには 広い田んぼや畑・・・
藪に覆われた 小川・・・
手付かずの雑木林・・・
そうして その少し先に それらを取り囲むように
民家が 立ち並び
車が 忙(せわ)しく走っている・・・
そんな中で 人目から その身を隠しながらも
その命を 繋ぎ続け 生きている・・・
ずっと・・・ずっと・・・ずっと・・・
途切れずに 続いてきた命の連鎖・・・
あぁ・・・ なんて美しく なんて神々しい 奇跡の姿の現れなのだろう・・・
読んで下さって有難うございます。
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