昭和30年頃の幼かった私の記憶に残る母は
こういうモンペ姿でいつもいつも忙しく働いていました。
戦後の日本が目まぐるしく変わろうとしていた時代でした。
父は、生活力のない坊ちゃん育ちの我儘物で、満足に働こうともせず
酒を飲んでは母に暴力を振るうような人間で
祖父母亡き後の家は衰退の一途を辿るばかりでした。
そして母は、私が11歳の時癌になり、34歳の若さで亡くなりました。
休む暇なく家族の為に働いて働いて 私達を守る為に働き続け
死ぬ間際まで子供達の運動会に行ってやらなきゃと呟いていました…。
父に家族への思いやりがあったら全てが違っていただろうにと思います。
父が母を殺したようなものだ、まるで悪魔か寄生虫だと
父の所業を思い出す度に鳥肌が立ち、身体がブルブル震えて
随分長い間私は父を許すことが出来ませんでした。
長い月日が過ぎ、私も今では母の倍以上の年になり
憎かった父も亡くなりました。
脳裏に焼き付いた懸命に働く母の姿が ずっと私の心の支えでした。
自分の命を削って 私達子供を守ろうとしてくれたのだと
母の苦労ばかりの短い生涯に
私達子等への深い母の愛を感じられるからです。
縁(えにし)の仕組みは分からないけど
こういう父と母を両親として生れ落ちるべき罪深い何かがきっと
私にあったのだと思います…。
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