あの頃の 貴方の心と出会ってみたい…
それは二度と帰らぬ日々…
時は流れて 人は
いつしか必ず 老いの日々を迎える
それは寿命を生き抜いた喜ばしい事である反面
人生最後の厳しく残酷な 試練の時でもある…
認知症を患う貴方と関わりながら 老いの厳しい一面を想う
私は最期の時を どんな姿で迎えるのだろう…
悲しいかな… 悲しいかな…
老いの深まりは 時に 培った記憶を消し去り
人を 制御不能な動物に変える…
若き頃 誰がそういう自分を予測しただろうか…
そうならないという保証は
誰一人として無い…
人とは結局 人生さえも思うままに生きられない
不自由な生き物だと つくづく思う
肉体は枯れてゆき 脳も縮み
人として 全てが退行してゆく中で
制御を失った感情ばかりが暴走した時
人は壊れてゆく…
我が子の存在すらも薄れ
愛した人の名前すら思い出せず
身につけたADLさえも失って
一体 貴方のその心には 何が残っているのだろう…
分からない… 分からない…と
ふと我に返ったようにオロオロと 呟き歩く貴方の目は
何処か虚ろで
遠い世界で 消えた記憶を探し彷徨っているかのようだった…
人とは いつしか 全ての思い出さえも忘れ去り
空っぽの意識で この世を去るべきものなのかも知れない…
元々 無から生まれた存在なのだから…
されど 只
貴方が失った記憶の中には
今も貴方を見守る人達が居て
貴方の人生から消し去られた身の
心 凍えるような淋しさよ…
読んで下さって有難うございます。
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