「未練雪」
田んぼや畑の雪も消え
ガラス越しに差し込む日差しの陽だまりの
心地良さに包まれて
猫達も この上なく無防備に
安堵に溶けたような顔をして 眠っていたのに・・・
季節は もう すっかり春の気配に 覆われていたのに・・・
朝 突然の寒さに ブルっと身震いをして
カーテンを開けたら 窓の外は 一面白の世界だった・・・
薄暗い灰色の空から 水を含んだ綿のような重たい雪が
休みなく 途切れなく 無限を思わせるように 降り注いでいた・・・
紛れもなく それは 終わった筈の冬の光景だった・・・
次々と降りしきる雪を眺めながら
ふと 病床に伏す貴女へ想いを馳(は)せる・・・
明日をも知れない命の貴女・・・
この 季節外れに訪れた冬景色のように
貴女も この世を去り難いのではないのだろうか・・・
もう 季節は変わり 居場所が無いのを知りながら
名残惜しそうに 戻ってきた冬景色・・・
季節外れに降り積もる この雪が
儚い命の 貴女の姿と重なって
いくら降って積もっても 明日には溶けて消え去る雪が
まるで 逝くに逝けない 貴女の心の 未練のようで・・・・・
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