夏の日の騒めく気配を
冷たい清水で洗い流したような澄みきった闇夜一面に
紅い花が咲いた!
月は煌々と空高く輝き
散りばめられた星の光が瞬いている
そんな秋の夜の季節外れの打ち上げ花火…
野太い口笛のような叫びをあげて舞い上がり
闇夜に大きな大きな幻の花を咲かせた!
この世に一瞬だけ現れた炎の花園
世にも艶やかに咲いた途端 降り注ぎ
あっという間に消えてゆく
貴女は心沸き立つままに歓声を上げ
白い腕を真っすぐに その燃える花びらの方へと高く伸ばした
紅い炎の色が灰へと変わり色褪せる一瞬を
広げたその手の平の中へ掴もうとするかのように…
瞳は真っすぐに夜空に咲いた一瞬の花園を見据え
花の色に映し出される貴女の色白の顔は
薄っすらと紅色に染まり 嬉々としたエネルギーに満ち溢れていた
貴女は 伸ばしたその手の平でしっかりと
燃える花びらを掴んだのかも知れない
闇夜に咲き誇った炎の花達のエネルギーを
きっと貴女は その手の平に掴んだのだ
暗闇に咲いた大きな大きな艶やかな花達が
こんなにも心を魅了するのは
儚くも一瞬に燃え尽きる存在であるが故
それは命にも似ている気がする
貴女は夜空に咲いた花のエネルギーを手の平に集めて
きっと生きるパワーに変えたんだね
だって90歳半ばにもなる貴女の仕草が 何だかとても生き生きとして
はしゃぐ姿が まるで若い娘さんみたいだったのだもの
読んで下さって有難うございます。
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