優しい風 À quelqu’un(誰かさんへ)

 

秋の気配が深まって

 

寂しい風が忍び寄る心の中を

 

名も知らぬ誰かさんが

 

(こうべ)を垂れる金色の稲穂を

 

優しく撫でてゆく風のように

 

そっと 通り過ぎて行った…

 

 

 

お別れは ある日突然に…

 

でも それは約束されていたように必ず訪れる

 

 

老いた日々を重ねたある日

 

プツン…と 縁(えにし)の糸は突然切れて

 

あっけなく 永遠の鎮まりを告げる…

 

 

 

優しい風は 優しいままに

 

只 優しいままに吹きすぎてゆき

 

優しさの陰にある悲しみを抱えたまま

 

去っていった…

 

 

 

苦しみ悲しみを秘めながら

 

優しさだけを風に乗せ

 

心の中を吹きすぎて…

 

 

私も その風の優しい心地良さを知っている…

 

 

それは 姿形も実態も無いけれど

 

確かに心に感じる温もりがあり

 

その優しさに心は癒され 安らいだ…

 

 

だから この有難うを貴方に伝えたい…

 

 

心呟く声は遥か遠く 何処までも届くと信じて

 

有難う… quelqu’un.…

 

merci pour la douce brise

 

 

 

 

 

 

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