秋の気配

 

雨上がりのひと時の涼しさが 秋の気配を連れてくる

 

 

心の奥に眠っていた切なさと寂しさが

 

 

思い出したように目を覚ます

 

 

いつもそう…

 

 

繰り返す季節の巡りに いつも心は振り回される

 

 

夏の日 蠢(うごめ)くように繁茂した草木の深い緑も

 

 

狂気の時を終え 燃え尽きたかのように色褪(あ)せていた

 

 

ひんやりとした大気に降る雨は 籠(こも)った夏の火照(ほて)りを鎮めて

 

 

暑い夏の日の記憶を走馬灯(そうまとう)の影絵のように

 

 

脳裏に繰り返し映しだす

 

 

秋…

 

 

この胸に募る切なさは何…?

 

 

この訳の分からぬ寂しさは何…?

 

 

愛しき人達を想う時

 

 

何故 慈しむ心に悲しみが付きまとうの…?

 

 

この時節は いつもそう…

 

 

春には芽吹き 夏に燃え盛った数々の命が

 

 

秋には静かに老いて朽ちてゆくばかり…

 

 

人も所詮は自然の一物

 

 

秋の気配に訳もなく こんなに心が揺らぐのは

 

 

 己の命の いずれ訪れる別れの時を

 

 

きっと本能で感じているからかもしれない…

 

 

 

 

 

 

 

 

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