「ただ ただ 笑顔の・・・」
ただ・・・
ただ・・・
機嫌の良い 赤子のように
笑顔を絶やさぬ 老婆が居(お)られる・・・
その老婆は 全ての過去の記憶を 忘れ去ってしまった・・・
長かっただろう人生の 全ての出会いも忘れ去り
自分が誰かさえも 分からない・・・
衣食住の全てを 人に委(ゆだ)ね・・・
下の世話も 人の手を借りねば 糞尿にまみれてしまう・・・
それでも その老婆はニコニコと 笑顔を絶やさず 生きている・・・
何を語ることもなく・・・
人を責めることもなく・・・
ただ ただ ニコニコと ・・・
その瞳に 怒りは無く 欲も無く 疑いも無く・・・
いつの日も 老婆は 何をするわけでもなく
只々ニコニコと 日々を過ごすだけ・・・
されど・・・
何故だろう・・・
その笑顔に出会うと 沈んだ心は癒されて
心 暖かくなる・・・
その笑顔で見つめられると 不思議と顔がほころんで
心 安らいでしまう・・・
ただ・・・ ただ・・・
赤子のように ニコニコと
笑顔を絶やさず生きる 老婆が居(お)られる・・・
その笑顔を向けられると
沈んだ心が温(ぬく)められ
まるで 心 洗われるようで
笑顔の老婆の 瞳の奥に
神様が住んで居(お)られるような気がするのです・・・