「母へ」

あれは私が幾つの頃だったろうか…

 

 

私の幼い頃の記憶の中の母は

 

 

年老いた祖父母の世話をしながら

 

 

家族を護ろうと 私達にひもじい思いをさせまいと

 

 

いつも休みなく 無我夢中で働いていた…

 

 

子を慈しむ暇もなく 只只 働いて 働いて…

 

 

そんな母との ささやかな 幼い日の小さな思い出…

 

 

あの日 幼い私をリヤカーに乗せ 母は山へ山菜を取りに行った…

 

 

お昼時 明るい日のあたる草むらに座って

 

 

母と私は オニギリを食べた…

 

 

母が握った大きなオニギリ…

 

 

あのオニギリは きっとそんなに大きかったわけじゃないかも知れない…

 

 

私が幼かったから 私の小さな両手一杯のオニギリは

 

 

きっと とても大きく感じられたのだろう…

 

 

何処からともなく 真っ黒で大きな山アリが寄ってきて

 

 

その山アリに噛みつかれそうで怖かったのを

 

 

今でも懐かしく思い出す…

 

 

大きなオニギリ…

 

 

大きな山アリ…

 

 

それでも 母と過ごせる事が 幼心にも嬉しくて嬉しくて…

 

 

私を見る母の温かい笑顔…

 

 

一緒にオニギリを頬張りながら

 

 

母の目が優しく穏やかに笑っていた…

 

 

あの時の ささやかだけど掛け替えのないひと時が

 

 

消える事の無い灯(ともしび)になって

 

 

私の心を今も温かく照らし続ける…

 

 

 

 

 

 

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