貝殻一つ…

 

砂浜の砂に埋もれて 貝殻一つ…

 

宿りし命の消えた抜け殻よ

 

(つい)の片割れ 今は何処(いずこ)

 

 

 

潮騒が響くよ 幾世も変わらず…

 

波の粒子が潮風となって漂うよ 幾千年もの遠い遠い昔から…

 

 

生まれ生まれて

 

生きて生きて

 

滅び滅びて 消えてゆく…

 

 

それでも命は

 

生まれ生まれて

 

生きて生きて…

 

 

 

砂浜の砂に埋もれて

 

命を終えた貝殻一つ…

 

 

時の過行くままに 滅びゆき

 

やがては砂と化す命の器よ

 

 

 

宿りし命は今 跡形もなく

 

対の片割れの行方も知れず…

 

 

 

潮騒は母なる海の鎮魂歌

 

潮風が運ぶ波の粒子は 命の記憶を深い眠りへと誘(いざな)

 

永い永い歳月が 全てを静かに さらさらと風化させる

 

 

 

打ち寄せる波…

 

吹きすぎる潮風…

 

そして果てしなく広がる鎮魂の砂浜が

 

只 さらさらと…

 

 

 

 

 

 

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