3月の 冬の冷たさ まだ消え残る空を
白鳥の群が声高に鳴きながら 飛び過ぎて行った
朝早く 何処へと向かっているのだろう
空気を震わせ響き渡る彼らの声は
何を伝えあっているのだろうか
長く厳しいシベリアへの旅が近い事に
本能が沸き立っているのだろうか
それとも互いに旅への覚悟を決め合って
励まし合っているのだろうか
もう そんな季節が来たんだね…
一つの時節が去る時を迎え
新しい季節に変わろうとしている…
冬から 春へ…
幾千年も変わらぬ営みが又一つ 繰り返される…
厳しくも 美しく
全てが失われようとも 新しく命は再び芽吹き
生きる事を繰り返す
一つ一つの命は 本当にちっぽけかも知れないけれど
でも それぞれが皆 それぞれに豊かな個性を持ち
力一杯 精一杯に生きている…
長い世の栄枯盛衰も 何事も無かったかの如く
時の流れとなって通り過ぎ
淡々と 季節は隅々にまで行き渡る
獣も
鳥も
魚も
虫も
微生物も…
命を授かった生き物全てが
巡る季節に命を託し
只々 精一杯に生きている!
そうして
全ての命が 待ち望んだ春が
もうすぐ そこに…
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