年季の入った圧力鍋を火にかけながら
ふと
この鍋を買った頃の事を思い出す…
収入も少なく貧しかった まだ若かりし頃
新聞広告で一目惚れした鍋だった…
欲しくて欲しくて仕方ないものの
あの頃の私には高価過ぎて
簡単に買う事が出来なかった…
それでも諦めきれず 長い間少しづつ小銭を貯めて
やっと手に入れた愛着のある鍋…
使って使って 使い続けて あれから何十年過ぎたろう…
私と同じだけ この鍋も年を重ねた…
あの頃はまだ小さかった子供達も
年老いて 去って逝った先人(さきびと)達も
この圧力鍋で作った私の料理を沢山食べた…
料理は 子供達にとっては成長の糧になり
先人達には 命を長らえる薬となった…
そうして今は
私一人の為のスープを作る…
静かに沸き立つ蒸気(じょうき)の音が
ほんわりと懐かしい記憶を呼び起こし
賑やかに料理を囲んだ頃の家族の顔が
幾度も幾度も 浮かんでは消える…
今はもう 鍋も私もすっかり古くなってしまった
互いに いつ壊れてしまうか分からないけど
でも私達 壊れそうで中々壊れないね (笑)
お鍋様
貴方との出会いは私の人生で
とても素敵な御縁だった
有難う お鍋様
今日のスープの出来栄えと
貴方との良縁に感謝です
読んで下さって有難うございます。
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