惜別の牡丹雪が降りしきる…
群青色の夕闇に 暗闇の幕が下りる頃
降り始めた重たい水雪が
大きな花弁の花吹雪となって 舞い踊る
激しくも美しく 儚く消えゆく春の淡雪…
降りしきる美しさに 両手を広げて見上げれば
まるで我が身へと降り注ぐよう…
もしかしたら乱舞するこの雪は
地上に生きる者達が冬の間に発した様々な思いを掻き集め
鎮めてくれてるのかも知れない…
自然界で 冬を生き抜いた者達の苦労や苦しみは
どれ程だった事だろう…
獣も
鳥も
虫も
植物も…
どれ程辛かった事だろう…
牡丹雪を見ていると
空中に漂う 冬を生きた者達の発した数限りない苦しい想いが
舞い散る美しい雪の一片(ひとひら)一片(ひとひら)を拠り所にして
儚く落ちては 水となって地面に浸みゆき
一つ 又一つと
自然の懐へと還ってゆく気がする…
そうして やがて冬の気配は消滅し
春へと全てが入れ替わるのではないだろうか…
美しくもあり そして何故か切なくもあり…
地上に落ちては 融けて消えゆく雪の花弁(はなびら)から
さよならの声が 聴こえた気がした…
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