君の声なき声が聴こえる…
泣きたくなる程の切なさに仕事の手を止めて
君の住む方角へ 視界の滲んだ視線を向ける…
昨日 君の暮らす施設から
君が流行り病に感染したと連絡がきた…
君は隔離され 一人ぼっち…
どうか無事でいますように…
どうか苦しんでいませんように…
祈りにも似た呟きが口から洩れる…
君の声なき声は 途切れる事を知らず
私の脳裏で繰り返し響き続ける…
熱に魘(うな)され
一人 病の苦しさと戦っているであろう君…
なのに…
傍に行き 寄り添う事も許されず
様態さえも委ねたまま知る由も無く
不安ばかりが膨らみ続ける…
あぁ… 分かってる…
それは私の悪い癖…
君の事を思う程 悪い想像ばかりしてしまう…
みんな私の心の作り事
病んだ心が生み出した妄想にすぎなくて
君は一人 きっと強い気持ちで病と闘っているだろう…
私が思う以上に君の心は 大人で強いから…
そう… 弱いのは私の方だね…
君の傍に居てあげたいと思うのも
君の力になりたいと思うのも
みんな 私の寂しい気持ちの裏返し…
幾つになっても永遠に変わりようのない
独りよがりで情けない私の本能が
老いた今もまだ 君を守れるつもりでいる…
今は只 君に会いたい…
会って 君自身の口から直接に
元気な声が聴きたいよ…
読んで下さって有難うございます。
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