遠い昔の夢の話・・・

 

あなたの一生分の愛を 私は貰ってしまったから

 

 

あなたは消えてしまったのだろうか・・・

 

 

あの時・・・

 

 

あなたは夢の中で 私に別れを告げに来た・・・

 

 

薄昏(ぐら)い雨の中で 傘もささず濡れながら

 

 

物陰に隠れるようにして

 

 

あなたは泣きながら私を見つめていた・・・

 

 

あなたの居ない寂しさに耐えきれずにいた幼い私は

 

 

あなたを見つけた嬉しさに駆け寄って

 

 

あなたの服の裾をギュッと握りしめた・・・

 

 

そうしないと あなたが又居なくなってしまうと直感したから・・・

 

 

けれどもあなたは そんな私の手を悲しい顔して振りほどき

 

 

荒れた波の打ち寄せる昏い海の方へ走り去り

 

 

涙伝う顔を私の脳裏に焼き付けて

 

 

消えてしまった・・・

 

 

 

 

永遠に・・・

 

 

 

 

 

 

あの時・・・

 

 

あの夢の中で・・・

 

 

握りしめたあなたの服を離さなかったら

 

 

あなたを失わずに済んだかもしれない・・・

 

 

あの時 あなたを捕まえた手を離しさえしなければと

 

 

幾度そう心の中で呟き悔やんだことだろう・・・

 

 

あの手を離しさえしなければ・・・

 

 

離しさえしなければ・・・

 

 

 

 

夢と分かっていても

 

 

あの時の場面が今もはっきりと蘇る・・・

 

 

あれからもう随分と長い時が流れたというのに・・・

 

 

あの時のあなたの年齢をとっくに超えてしまっているというのに・・・

 

 

夢の中のあなたの涙に濡れた顔が

 

 

今でも消えず脳裏に焼き付いている・・・

 

 

この心の拭いきれない寂しさは

 

 

きっとその為かもしれない・・・

 

 

夢の中の悲しく切ない顔のあなたが

 

 

私が最後に見たあなただったから・・・

 

 

ねぇ・・・母よ・・・

 

 

もう一度夢に出てきて・・・

 

 

そうしてあなたの子供達の今の暮らしぶりを見て笑って・・・

 

 

あなたの愛しむ子供たちは今

 

 

みんな強く逞しくなって それぞれの人生を大事に生きているよ・・・

 

 

あなたに貰った真っすぐな精一杯の愛情をしっかり抱きしめて・・・

 

 

 

 

ねぇ・・・母よ・・・

 

 

もう一度夢に出てきて会いにきて・・・

 

 

そうして今度は笑顔に溢れるあなたを見せて・・・

 

 

思い出すあなたは笑顔であって欲しいの・・・

 

 

例え夢の中の事だとしても・・・

 

 

 

 

ねぇ・・・母よ・・・

 

 

 

 

 

 

 

読んで下さって有難うございます。

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