さよならの雪

 

 

 

如月(きさらぎ)の半ばも過ぎて

 

 

 

冬から春へ変わろうとする 季節の綱引きの中

 

 

 

日も暮れた暗い道に

 

 

 

戦いに敗れ傷ついた 戦士の最後の足掻(あが)きのような

 

 

 

半分 哀れに溶けた濡れ雪が降りしきる・・・

 

 

 

 

仕事帰りの 車のヘッドライトの明かりに

 

 

 

暗闇に白く浮かび上がった その降りしきる濡れ雪は

 

 

 

 次々と 悪魔の手のように降り落ちてきては

 

 

 

フロントガラスに ぶつかってくる・・・

 

 

 

 

 

その様(さま)は 辛い過去の荒事(あらごと)が

 

 

 

私を逃(の)がすまいと 追って来ているかのように思えた・・・

 

 

 

 

 

もう 冬は 終わり・・・

 

 

 

どんなに足掻(あが)いて 雪を降らそうとも

 

 

 

もうすぐ春はやってくる・・・

 

 

 

そして 過ぎ去った時は もう二度と戻って来る事はない・・・

 

 

 

又 新しい四季が巡り来て

 

 

 

淡々と 新たな季節の営みが始まるように

 

 

 

私の人生の場面も変わり

 

 

 

私は もう既にそこで生きている・・・

 

 

 

心は 決して過去へ帰りはしない・・・

 

 

 

もう 冬は終わりなんだよ・・・

 

 

 

だから・・・

 

 

 

さよなら・・・

 

 

 

 

 

 

読んで下さって有難うございます。

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