剪定された八重桜の枝が
無造作に木の下一面に散らかっていた…
北国の厳しく長い冬を超えた枝先の硬い蕾は
切り捨てられても尚
僅かに地面に残る雪解けの水分をもらって
微かに膨らみを増し続けていた…
決して 花咲ける日は来ないというのに…
この世の 切り捨てられるものの哀しさよ…
やっと待ちわびた春が来たというのに
咲けない花もある
そんな枝を少しだけ拾い集めて持ち帰り グラスに飾った
長い冬を耐え もう少しで咲けるというのに
花開く事も叶わずに 切り落とされた蕾達…
そんな中から 僅かながらも拾われて
見知らぬ窓辺のグラスの中で
やがて可愛い花を咲かせた八重桜…
満開の桜の美しさの陰には
犠牲になった沢山の咲けない花達がいるという事…
生きるって ホントに様々で
花の世も人の世も 運次第なところはよく似ている…