焼けつくような日差しが照り付ける 暑い夏の最中(さなか)
走らせる車の前を 雀が一羽
力一杯放たれた鋭い矢のように横切った!
ぶつからなかった事にホッと安堵しながらも
その姿に 切なさがこみあげる…
雀達も子育ての真っ盛りの時…
この暑い最中 食べ盛りの我が子達へ
必死で食べ物を探しては運んでいるのだろう
あんな小さな身体から溢れる 狂気のような命の迸り…
我が身を顧みる事も忘れる程に
その羽搏きに溢れる我が子達への一途な想い…
あぁ… 唯それだけの想い…
その姿から 懸命な親の想いだけが伝わってくる…
愛しい!
愛しい!
我が身を忘れるほどに…
早くお腹を空かせた我が子の元へ行かねば!と
唯 愛しいだけの気持ちが 我が身を突き動かすのか…
雀よ 雀…
私もそういう時代があったよ
我が子達を夢中で育てた時代があった…
唯 子共達が愛しくて どんな事でも頑張れた…
そういう時代があったよ
雀よ 雀…
無我夢中で我が子を育てる 雀よ 雀…
我が身をかまう余裕もなく
やつれた身体で 羽もボロボロに薄汚れても
その羽搏きの強さよ!
命とは不思議だね…
我が身を忘れる程に 子等の為に精一杯に生きる雀…
野生で生きる者達は 生きる事の在り方を
当り前のように知っていているのかもしれないね
見返り等 知りもせず
唯々 募る愛しさだけで
我が子の為ならば 苦労も厭わず突き進み
授かった命を懸命に育て上げる…
それこそが 生きる喜びと知っているのか…
彼らは当然のように分かっているのかも知れない…
何を この世で大切にするべきか…
自分がどう生きるべきかを…
私も 子育てで忙しかったあの頃が
何よりも掛け替えのない思い出になっている
自分を忘れる程に 只 愛しさだけで頑張れた日々があった…
それは 私の人生にとって
掛け替えのない 一番の宝物の日々…