秋花火… old woman T.Aさんに捧ぐ

 

夏の日の騒めく気配を

 

冷たい清水で洗い流したような澄みきった闇夜一面に

 

紅い花が咲いた!

 

 

月は煌々と空高く輝き

 

散りばめられた星の光が瞬いている

 

そんな秋の夜の季節外れの打ち上げ花火…

 

 

野太い口笛のような叫びをあげて舞い上がり

 

闇夜に大きな大きな幻の花を咲かせた!

 

 

 

この世に一瞬だけ現れた炎の花園

 

 

世にも艶やかに咲いた途端 降り注ぎ

 

あっという間に消えてゆく

 

 

 

貴女は心沸き立つままに歓声を上げ

 

白い腕を真っすぐに その燃える花びらの方へと高く伸ばした

 

 

 

紅い炎の色が灰へと変わり色褪せる一瞬を

 

広げたその手の平の中へ掴もうとするかのように…

 

 

瞳は真っすぐに夜空に咲いた一瞬の花園を見据え

 

花の色に映し出される貴女の色白の顔は

 

薄っすらと紅色に染まり 嬉々としたエネルギーに満ち溢れていた

 

 

 

貴女は 伸ばしたその手の平でしっかりと

 

燃える花びらを掴んだのかも知れない

 

 

闇夜に咲き誇った炎の花達のエネルギーを

 

きっと貴女は その手の平に掴んだのだ

 

 

 

暗闇に咲いた大きな大きな艶やかな花達が

 

こんなにも心を魅了するのは

 

儚くも一瞬に燃え尽きる存在であるが故

 

 

それは命にも似ている気がする

 

 

貴女は夜空に咲いた花のエネルギーを手の平に集めて

 

きっと生きるパワーに変えたんだね

 

 

だって90歳半ばにもなる貴女の仕草が 何だかとても生き生きとして

 

はしゃぐ姿が若い娘さんみたいだったのだもの

 

 

 

 

 

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呟き

何故だか ほろ酔いのくつろぎの時間の中で

昔好きだった歌「無縁坂」を ふと 口ずさんでいた

そのメロディと 記憶をくすぐる歌詞が母の姿に重なって

気が付けばいつに間にか視界が涙で歪(ゆが)んでいた

 

後ろだけは見ちゃ駄目…

巡る暦は季節の中で漂い乍ら過ぎてゆく…

 

なんて心に沁(し)みる歌詞だろう

この一節(いっせつ)が乾いた地に染み込む雨のように心を濡らす

 

そういえば 今日から秋のお彼岸だね

ふと口ずさんだ「無縁坂」の歌

亡き母が歌詞を借りてメッセージを伝えてくれたのだろうか

 

後ろだけは見ちゃ駄目…

巡る暦は季節の中で漂い乍ら過ぎてゆく…

 

そうだね… そうだね…

どんな出来事も移り変わる季節の中で

吹きすぎる風のように過ぎ去って行く

過ぎ去った過去は既に幻

しっかり前を向いて

新しく巡り来る日々を大事に生きて行かなきゃね

 

 

 

 

 

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人生のスパイスや隠し味

 

料理をしながら ふと思う

 

 

料理って 美味しくするために様々なスパイスや隠し味を使うけど

 

 

人生も同じだなって…

 

 

失敗の惨めさも 無駄に思える道草も

 

 

何もないより 知ってた方が心は豊か

 

 

苦しみを超えてこそ気づく幸せもある

 

 

悲しみを知ってこそ深い慈しみは生まれる

 

 

全ては 料理の途中経過のようなものだったのだと

 

 

老いた今は そう想う

 

 

過ぎ去った日々の 苦しみも 悲しみも

 

 

愛しさも 喜びも

 

 

その全てが 人生のスパイスや隠し味

 

 

その全てで 今の私の心は形作られている

 

 

これからも生きている限り 人生という料理は続いてゆく

 

 

既に人生の仕上げに入った段階で

 

 

これから先 どんなスパイスを得るのだろう

 

 

どんな隠し味を使うのだろう

 

 

ありふれた人生ではあるけれど

 

 

やがていつの日か

 

 

手間暇かけた母親の手料理のように

 

 

年月が過ぎた頃ふと思い出し 無性に恋しくなるような

 

 

そういう懐かしい味わいのある存在になれたらと想う

 

 

 

 

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汗… 水のサイクル

 

晩夏…

 

 

真夏の名残の蒸し暑さが これでもかと押し寄せる

 

 

汗が身体じゅうの毛穴から次々と噴き出して

 

 

見る間に皮膚一面が 汗の小さな水玉で覆われる

 

 

何度も何度も流れる汗をタオルで拭き取る

 

 

汗…

 

 

この流れる汗も 命を生かす為の水のサイクル

 

 

身体から滲み出た水分は やがて蒸発し空気の中へ姿を隠す

 

 

高い湿度の中には沢山の人の汗も含まれているのではないかと ふと思う

 

 

海も川も 山も大地も

 

 

人と同じように汗をかき

 

 

それが蒸発して時には霧になるんだと 又 ふと思う

 

 

生きとし生けるもの全てが 汗をかいている

 

 

その全ての汗が空気の中へ姿を隠し

 

 

雲となり

 

 

雨となり

 

 

大地深く染み渡り

 

 

永い 永い 年月をかけて再び

 

 

水として その本体を現し

 

 

全ての命を生かしめている

 

 

連綿と繰り返される水の輪廻の中で 命は生かされている

 

 

この地球という 壮大な宇宙にポッカリ浮かんだ

 

 

小さな泡(あぶく)みたいな星の中で

 

 

繰り返される水のサイクル…

 

 

晩夏の蒸し暑さの中で仕事をしながら

 

 

噴き出す汗に ふと思った取り留めのない呟き…

 

 

それにしても 暑いね…

 

 

 

 

 

 

 

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秋の気配

 

雨上がりのひと時の涼しさが 秋の気配を連れてくる

 

 

心の奥に眠っていた切なさと寂しさが

 

 

思い出したように目を覚ます

 

 

いつもそう…

 

 

繰り返す季節の巡りに いつも心は振り回される

 

 

夏の日 蠢(うごめ)くように繁茂した草木の深い緑も

 

 

狂気の時を終え 燃え尽きたかのように色褪(あ)せていた

 

 

ひんやりとした大気に降る雨は 籠(こも)った夏の火照(ほて)りを鎮めて

 

 

暑い夏の日の記憶を走馬灯(そうまとう)の影絵のように

 

 

脳裏に繰り返し映しだす

 

 

秋…

 

 

この胸に募る切なさは何…?

 

 

この訳の分からぬ寂しさは何…?

 

 

愛しき人達を想う時

 

 

何故 慈しむ心に悲しみが付きまとうの…?

 

 

この時節は いつもそう…

 

 

春には芽吹き 夏に燃え盛った数々の命が

 

 

秋には静かに老いて朽ちてゆくばかり…

 

 

人も所詮は自然の一物

 

 

秋の気配に訳もなく こんなに心が揺らぐのは

 

 

 己の命の いずれ訪れる別れの時を

 

 

きっと本能で感じているからかもしれない…

 

 

 

 

 

 

 

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