悪魔の蜘蛛よ 哀れなり

 

暑い夏の日の朝に かかってきた一本の電話…

 

 

「お父様の所へ訪問しているヘルパーですが

 

 

お父様と4日間連絡が取れません 」

 

 

 

 

駆け付けた家で見つけたのは

 

 

居間のテーブルの上の飲み干された酒の瓶と

 

 

湯船の中で既に腐敗している奴の姿だった…

 

 

頭だけが いい気分で風呂に浸かっているみたいに浮かんでいた…

 

 

それを見て… 悲しいかな… 私の心は呟いた…

 

 

   「やっと 悪魔の蜘蛛が死んだ!」

 

 

 

張り巡らした糸にかかった家族という獲物の命も人生も喰い尽くし

 

 

堕落したその生き方を不条理な理屈で正当化して

 

 

そして虚栄と激しい暴力の日々を当り前にした…

 

 

それが奴の生き方だった…

 

 

周りに生きる者は全て 自分の為だけに存在する獲物!

 

 

親も… 妻も… 子も…

 

 

守るべき筈の家族さえ 自らの餌として

 

 

貪(むさぼ)り喰う悪魔の蜘蛛…

 

 

もし その心に家族を慈しみ愛する想いがあったなら

 

 

死に場所も 死に方も

 

 

もっと穏やかで温かいものになっていただろう…

 

 

 

愛知らず…

 

 

愛持たず…

 

 

欲望を満たす金しか知らぬ寂しき悪魔よ…

 

 

今は只 その貧しき命が哀れなり…

 

 

哀れなり…

 

 

 

 

 

 

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投稿者: 花咲 手毬

ご訪問、有難うございます。見て頂けて、嬉しいです。 私の咲かせた言葉の花が、誰かの心に届きますように…

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