長い間入院していた96歳のお婆ちゃんが帰ってきた
病院ではずっとベッドの上だった…
食事も 洗面も そして排泄も 全てみんなベッドの上…
帰ってきたお婆ちゃんは自分の足で立てなくなっていた…
大正生まれのお婆ちゃん…
お婆ちゃんの身体は ひと際(きわ)大きくてがっしりしてる
だから車椅子への移乗にも トイレの際の介助にも 人間二人の力が必要
「若い頃はモデルさんみたいで目立ったでしょう?」と言うと
「大女って言われたよ」って 笑い声と一緒に言葉が返ってくる
大正生まれのお婆ちゃん
気丈で明るいお婆ちゃん
泣き言も言わず 悲観もせず 明るく今を頑張るお婆ちゃん
一生懸命 一生懸命 今を頑張る
そして お婆ちゃんはいつも言う
「ありがたう!」
「ありがたう!」は お婆ちゃんの「ありがとう!」
「ありがたう!有難い 有難い あんたさん上手だね」
明るい声で 身体を支える人にそう言いながらも
力の入らない足で 自らも立とうと頑張るお婆ちゃん…
毎日 毎日 泣き言も言わず 悲観もせずに
その時その時を ただ一生懸命 明るく頑張ってたお婆ちゃん…
ありがたう!ありがたう!って言いながら…
お婆ちゃんは大正生まれの96歳だから
衰えた肉体が改善するとは 誰もがみんな思ってなかった…
でも! そのお婆ちゃんが 今では自分の足で
自分の大きな身体を支えて立つことが出来ている!
力の入らなかった足に いつの間にか筋力が蘇り
介助も一人でよくなった…
介助の度に「凄いね!奇跡だね!強いね!立派だね!」って つい口に出る言葉に
お婆ちゃんからは いつものように
「あんたさん達のお蔭… ありがたう!」って返ってくる
明るい屈託のない笑い声と一緒に…
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