朝の囀(さえず)り

 

チュンチュンチュン

 

 

チチチチチ…

 

 

朝 雀の無垢な囀(さえず)りで目を覚ます

 

 

チュンチュンチュン

 

 

チチチチチ…

 

 

布団から優しい気持ちで起き上がる

 

 

この灰色にくすんだような街中の

 

 

古いアパートにも雀の生活の声が響く安らぎ…

 

 

やっと飛べるようになった我が子を連れて

 

 

その口へ食べ物を運んでやっているのだろうか…

 

 

それとも まだ人間の動き出さない早朝の心地良さに

 

 

寛(くつろ)いでお喋り等しているのだろうか…

 

 

チュンチュンチュン

 

 

チチチチチ…

 

 

おはよう

 

 

いい朝だね

 

 

今日も一日 お互い頑張って暮らそうね

 

 

 

 

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切ないね この世の仕組み・・・

 

巣立ったばかりのフワフワであどけない雀の雛をカラスが襲った…

 

 

なんて恐ろしい酷い奴だと思ったけど

 

 

でも そのカラスも食べなくては生きていけない…

 

 

巣には お腹を空かせた雛も待っている…

 

 

悲しいかな この世の仕組み…

 

 

カラスはなんにも悪くない

 

 

ただ一生懸命生きていこうとしてるだけ…

 

 

 

 

 

熊が人里に現れて畑を荒らし 人を襲う…

 

 

なんて困った危険な奴だと思うけど

 

 

考えてみれば熊だって 好きで山から出てきた訳じゃない…

 

 

どんどん どんどん人が住み 山の恵も人が採り

 

 

お腹が減って死にそうで

 

 

食べ物探して彷徨って いつの間にか人里に出て

 

 

食べ物見つけて食べただけ…

 

 

悲しいかな この世の仕組み…

 

 

熊はなんにも悪くない

 

 

ただ一生懸命生きていこうとしてただけ…

 

 

 

 

命が生きていこうとする事は 別の命が消えていく事

 

 

生きるという事が 他の命を奪う事だなんて…

 

 

悲しいね この世の仕組み

 

 

切ないね この世の仕組み…

 

 

 

 

 

 

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悪魔の蜘蛛よ 哀れなり

 

暑い夏の日の朝に かかってきた一本の電話…

 

 

「お父様の所へ訪問しているヘルパーですが

 

 

お父様と4日間連絡が取れません 」

 

 

 

 

駆け付けた家で見つけたのは

 

 

居間のテーブルの上の飲み干された酒の瓶と

 

 

湯船の中で既に腐敗している奴の姿だった…

 

 

頭だけが いい気分で風呂に浸かっているみたいに浮かんでいた…

 

 

それを見て… 悲しいかな… 私の心は呟いた…

 

 

   「やっと 悪魔の蜘蛛が死んだ!」

 

 

 

張り巡らした糸にかかった家族という獲物の命も人生も喰い尽くし

 

 

堕落したその生き方を不条理な理屈で正当化して

 

 

そして虚栄と激しい暴力の日々を当り前にした…

 

 

それが奴の生き方だった…

 

 

周りに生きる者は全て 自分の為だけに存在する獲物!

 

 

親も… 妻も… 子も…

 

 

守るべき筈の家族さえ 自らの餌として

 

 

貪(むさぼ)り喰う悪魔の蜘蛛…

 

 

もし その心に家族を慈しみ愛する想いがあったなら

 

 

死に場所も 死に方も

 

 

もっと穏やかで温かいものになっていただろう…

 

 

 

愛知らず…

 

 

愛持たず…

 

 

欲望を満たす金しか知らぬ寂しき悪魔よ…

 

 

今は只 その貧しき命が哀れなり…

 

 

哀れなり…

 

 

 

 

 

 

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あの娘(こ)は飛んで行った

 

あの娘(こ)は飛んで行った・・・

 

 

その胸に滾(たぎ)る想いを翼に込めて

 

 

(しがらみ)の何もかもを捨て 飛んでいった・・・

 

 

振りかえりもせず真っすぐに

 

 

番(つがい)の相手と二羽寄り添って・・・

 

 

やがて 空の青さの中で二羽はどんどん小さくなってゆき

 

 

消えてしまった・・・

 

 

その方角を見続ける目に 空の青だけが

 

 

白い雲を滲(にじ)ませ 密(ひそ)やかに広がっていた・・・

 

 

 

 

あの娘(こ)は それっきり・・・

 

 

 

 

あの娘(こ)は 今頃どうしているのだろう・・・

 

 

何処かで 一緒に飛んで行った愛する相手と寄り添って

 

 

元気に幸せでいるだろうか・・・

 

 

遠い何処かで空を見上げ 故郷を思い出して涙ぐんではいないだろうか・・・

 

 

でも・・・それは

 

 

今 あの娘(こ)が何処かで 自分の選んだ人生を生きているという事・・・

 

 

そう・・・あの娘(こ)は巣立って去って行っただけの事・・・

 

 

死んだわけじゃないのだから・・・

 

 

見上げる果てしない空の下の何処かで

 

 

番(つがい)となった相手と新たな巣を造り

 

 

きっと頑張って暮らしている事だろう・・・

 

 

そう思える事は幸せ・・・

 

 

亡くしてしまう事よりも ずっと・・・

 

 

だって 巣だった雛鳥はちゃんと自分の命を生きているのだから・・・

 

 

 

 

 

 

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八十八の神様

 

母は 実家が農家でね・・・

 

 

そのせいか 御米を粗末にしたら駄目だよって よく言っていた・・・

 

 

一粒の御米でも お百姓さんが大変な苦労をして育てたものなんだよ・・・

 

 

人の口に入るまで 八十八回もの苦労と手間暇がかかってる・・・

 

 

だから米という字は八十八と書くんだよ・・・

 

 

一粒の御米にも 手間暇と苦労の数だけ神様が宿るから

 

 

決して粗末にしてはいけないよ・・・

 

 

幼き頃に母から伝えられた言葉は

 

 

大切な正しきこととして 私の細胞に染み込んでいる・・・

 

 

母も自分の母からそう教えられて育ったのだろうか・・・

 

 

先祖代々母から子へと受け継がれてきただろう御米の教え・・・

 

 

鍔釜(つばがま)を洗う時 こびり付いたご飯を水で落として

 

 

底に溜まった御飯の粒を大事に手で抄(すく)って口に入れていた母・・・

 

 

一粒の御米でも お百姓さんが大変な苦労をして育てたものなんだよ・・・

 

 

人の口に入るまで 八十八回もの苦労と手間暇がかかってる・・・

 

 

だから米という字は八十八と書くんだよ・・・

 

 

一粒の御米にも 手間暇と苦労の数だけ神様が宿っているから

 

 

決して粗末にしてはいけないよ・・・

 

 

炊飯器のお釜を洗う度に そう呟く母が思い出される・・・

 

 

釜の底に溜まった御飯粒を手で抄(すく)い

 

 

私は口に運ぶ・・・

 

 

それもまた 今は美味しいと思うようになった・・・

 

 

 

 

 

 

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